cello 空間設計

ネガティブな要素を肯定する

Shift in thinking

コモレビコーヒー焙煎所 / comorebi coffee roastery

業  態
コーヒーショップ
所在
大阪府城東市
開業時期
2019年05月
受注形態
設計・重点監理

京阪電車・本線「野江(のえ)駅」から徒歩6分の商店街の中に位置しています。テナントは古い木造長屋で何度も改装を重ねてきたようでした。解体してみると、予想外の場所から様々な部材が出てきました。耐震上、撤去しない方が賢明と判断される部材であったため、工事中にプランを変更せざるをえませんでした。それをネガティブにとらえるのではなく、テナントの個性としてポジティブにとらえることで、当初の設計内容をよい意味で裏切るデザインができあがりました。

 

特に、ファサード部において2本の柱が予想外の場所から出てきた時は、どのように対応すべきか迷いました。2本の柱を撤去する場合、上階部分の荷重を受け止めるため、新たに太い梁で補強する必要が出てきます。そうすれば設計当初考案していたスッキリとシンプルなファサードをつくることができますが、安全のために梁を太くすればするほど開口部の背丈が低くなり、出入りする際、人が頭を打ってしまう可能性が出てきました。また、施工コストも膨大に膨らむ可能性がありました。どのように対応することが正解なのか迷う中、改めて出てきた2本の柱をよく観察してみると、過去に行われた工事で職人が入れたであろう墨跡や指示文字の跡、色や接着剤を塗布した跡があり、それはそれでなんとも言えない味がある仕上りであることに気がつきました。長い間、建築物を支えてきた大事な柱でもあります。そこで考え方を改め、撤去するのではなく「逆にこれを活かそう」という発想に転換し、お店のファサード=顔をより個性的に仕上げることができました。

コモレビコーヒー焙煎所
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施工・現場監理:design labo COMMON SENCE 山本茂臣・中岡佑介