まず、土佐堀川沿いの風景を店内に取り込みたいと考え、河川に面した屋外空間にバルコニーを設けることを決めました。バルコニーでの体験を楽しんでいただくためには、どのような屋内空間をつくるべきか、この環境特有の屋外と屋内の関係性を考えることからデザインをはじめました。
お店に来られるお客さまは、オフィスビルが連なるビジネス街を通って来られます。ある程度、気を張った状態で来店される方が多いことが予測されます。そこで、入店から退店までのストーリーをイメージしながらシミュレーションを重ねました。入店されてから店内を移動してゆく過程で段階的にリラックスしていき一定時間を過ごしていただく、そして施術が終わり退店される時には、徐々に緊張感を回復し、またビジネス街へ出かけていくという一連の流れを想定し、スケール感を微調整することで各空間をスムースに繋げることを試みました。入口が位置するビジネス街の垂直方向のスケール感と、河川の水が流れる水平方向のスケール感が店内で緩やかにつながるよう、段階的に間仕切り壁や開口部の形状、サイズ、素材を変えながら配置しています。それにより無意識のうちに身体が空間に馴染んでいく工夫を施しました。
美容室は、容姿を美しく整えることが主目的の空間ではありますが、時にはバルコニーに出て軽くビールを飲んだり、しっとりと河面を行き交う水鳥や小船を眺めたりと、外面的にも内面的にも清涼効果がある空間になることを願っております。

el zafiro HIGOBASHI
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グラフィックデザイン：株式会社fine 日下れいか
施工・現場監理：有限会社Wwork 渡邉昌敬