お施主様は小野市出身です。長年、阪神間を拠点にコーヒー関連の仕事をつづけてこられ、独立開業を機に地元に戻りお店を開くことになりました。お施主様が抱かれていた「いままで培ってきたコーヒー関連の仕事を活かして地元に還元していきたい」という想いをカタチにすることからデザインをはじめました。

コミュニケーションを促す仕掛け
お施主様の想いを「わかりやすく」「たのしそうに」かつ「美しく」表現するため、カフェスペースの壁面の一部に小野市の地図を象ったレリーフをつくりました。空間に馴染むよう壁面の一部がそのまま道路や河川になったかのようなディテールを考案しました。このレリーフを前に地元の人々が集い「こんどこのあたりで○○○があるよ」「あそこで○○○しよう」「あの時は○○○だったね」と様々なカタチでコミュニケーションの輪が広がっていくきっかけとなればよいと思います。

身近に感じられる自然素材をつかう
人と人とのコミュニケーションの密度が高くなる場所に、店名の由来となったケヤキ材を使用しています。自然素材特有の素材感を身近に感じることで「落ち着くなぁ」と心地よい気分に浸っていただくためです。

記憶を引き継ぐ
「もともとこの場所にあったモノ」をなるべく引き継ぐことにしました。既存の区画や意匠を引き継ぐことは、地元の人々が無意識に抱いているであろう「地元＝わたしたの街＝身近な風景」の記憶を尊重するためであり、同時に、建設コストを抑制するためでもあります。既存の建築物を過度に改変せず、もともと存在した、場合によっては過飾とも捉えられる要素もあえて積極的に活かしました。

お施主様の個性、小野市の個性、テナントの個性が感じられる、どなたでも親しみやすい地域交流の場ができあがったのではないかと思います。

けやき焙煎所
Google Maps

グラフィックデザイン：株式会社fine 日下れいか
施工・現場監理：株式会社GLORY ARCHITECT WORKS 富里元康・光田夏実