cello 空間設計

気持によりそう

Close to your feelings

大歳内科 待合室 / Otoshi medical clinic

業  態
内科医院
所在
大阪府大阪市
開業時期
2009年05月
受注形態
設計・施工・現場監理

医院を訪れる患者さんは多少の差はありますが、不安な気持を抱えておられます。待合室の椅子に腰掛けて診療を待つ患者さんの様子を見ていると、無自覚のうちにだんだんと自己の内面へ閉じ籠ってしまう様子が窺えます。そのような患者さんに対して医師ではないデザイナーに何ができるのか?まず、診療を待つ間の患者さんの心理的な「気持のゆらぎ=目線の動き」に注目することからデザインをはじめました。

診療を待つ間の患者さんは、身体も心もしんどい状況で視線が一点に留まり「見ているようで、見ていない」状態になっているようです。ますます内向きな気分になり、後ろ向きなことを考えてしまいがちです。そこで、自ずと視線が動く仕組みとその効果を考えることから設計をはじめました。
無意識に視線が動く仕組みとして壁面をアシンメトリーに設えました。落ち着いた雰囲気を維持しながら、壁面によって異なる素材、色、間接照明を配しています。素材には天然石材、天然木材、自然由来の左官材、織物クロス材を選び、どれも淡い暖色系のやさしく淡い色味を使用しています。そうすることで、待合室内のどの場所に座ってたとしても、目の前の壁が視線が動くことを促し、視線がゆらゆらと一点に定まることなく移ろい、なんとなく気分が紛れるきっかけをつくり出しています。

デザインの力で病気を治すことはできませんが、少しでも重たい気分を前向きに改善する手助けができればと願い、このような空間ができあがりました。

医療法人大歳内科
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意匠工事:有限会社Wwork 渡邉昌敬
設備工事:阪急阪神ビルマネジメント株式会社
既製家具:graf