テナントは、もともと文房具店があった古い木造家屋です。かなり傷んだ部分が見受けられましたが、街の商店街にほどよく馴染んだコンパクトなスケール感が魅力的で、使用できる建築的な要素はなるべく活かすことにしました。
既設のスケール感に合わせながら、昔ながらの「へい、いらっしゃい！」的な八百屋さんのイメージとは異なる「ここはあたらしい野菜の売り方・買い方を提案しているお店です。」という姿勢を表すファサードをデザインしました。店内では、野菜のおいしさだけでなく、その美しさを際立たせるため、野菜ひとつひとつを大切なオブジェのように陳列しています。
とても小さなお店ではありますが、地元や遠方から来られた方など、ひっきりなしにお客様が訪れるお店になりました。このお店の存在が、日々の暮らしの中で健康やおいしさについて考えること、また、食品の生産・流通環境や需要と供給の関係について見つめ直すきっかけとなれば、ひとつの「あたらしい価値感」を提示する社会的な役割が果たせたのではないかと思います。

施工・現場監理：有限会社Wwork 渡邉昌敬

※現在、この店舗は存在しません。役割を終え2015年に閉店しました。また、店名を「ORGANIC VEGETABLE CA」から「GLOSA ORGANIC」と改名し他所にて営業を継続しています。