2007年、以前所属していた設計事務所にて設計を担当させていただき、退所後、他の設計事務所が少しずつ改装を続けていた物件です。今回、改めて設計を担当させていただけることになりました。このお店の特徴である、曲面で構成した間仕切り壁や天井、基本的なゾーニング、インフラ設備の配置は、初回の設計当時のままお使いいただいています。当時の設計理念を軸として、現代の新鮮な空気を取り入れるデザインを試みました。
14年という月日はお店にとって「長い時間」と言えます。お店は時として単年で取り壊されてしまうことがあります。一過性の流行と同期したデザインは消費サイクルが短くなるためだと考えられます。時代性を反映させることにこそインテリアデザインの醍醐味があるという側面もありますが、「長い間、店舗に通いつづけるお客様の記憶の拠り所」「壊すことで発生する廃棄物の自然環境への負荷」などを鑑みると、時代性とバランスをとりながら、価値が目減りしない耐用年数が長い空間をつくるべき時代なのではないかと考えています。

グラフィックデザイン：株式会社fine 日下れいか
施工・現場監理：有限会社Wwork 渡邉昌敬

※現在、この店舗は存在しません。役割を終え2024年に閉店しました。